2012年8月20日月曜日

実物資料の力


大分県日出町に所在する妙光寺の屏風一双を更に預かり、個人的に修復することになりました。

以前こちらこちらで紹介した作業を繰り返すことになりますので、今回は屏風の解体を日出町の中高生とその親御さんに手伝ってもらうことにしました。

日出町には日出町の歴史を理解する博物館が無く、日出町の歴史がわかる資料を目にする機会がほとんど無いため、土地に住み、日出城址に建つ小学校、中学校に通っていたけれどその歴史は詳しくわからないという人が多いようです。以前の私もそうでした。

今回の屏風も以前の屏風と同様江戸時代に仕立てられたもので、下張りには江戸時代の文書がたくさん貼ってありました。これを順番に状態の写真を撮りながら剥がしていきました。

虫害や汚れがかなりひどいうえ、単調な作業なので中高生は嫌がるかもしれないと懸念しましたが、次々に現れる借金証文や薬の包み紙、大福帳や漉きなおした再生紙などに「日出町にも本当に江戸時代があったんだ」と感心し喜んで剥がしてくれました。

また、出てきた文書の日付を読んで、学校で学習した事件の年と対比させて考えることができたようです。
年号を覚える歴史学習とは違い、本物の資料を目にすることによって歴史を実感できたと感想をもらい、私としても本物の資料の持つ力の大きさを感じ、改めて博物館での実物の展示や文書の展示などを考えることができました。


屏風の格子から文書を剥がす中高生と親御さん

2012年8月15日水曜日

論文掲載

『國學院雑誌』第113巻第8号(通巻1264号)に落合知子准教授の「我が国最初の野外博物館-宮崎自然博物館の成立とその社会的背景-」が掲載されました。

人文系 博物館資料論の刊行

青木豊教授編『人文系 博物館資料論』が雄山閣から出版されました。

本書は新カリキュラムの博物館学課程に対応した4冊シリーズのうちの一冊で、内容は下記の通りです。


第Ⅰ章 博物館資料の概念(青木豊) 
第Ⅱ章 博物館資料の具体(宮本瑞夫) 
第Ⅲ章 博物館資料の収集史(内川隆志) 
第Ⅳ章 資料収集(小西雅徳) 
第Ⅴ章 博物館資料化への課程(杉山正司) 
第Ⅵ章 博物館資料の製作(大貫洋介) 
第Ⅶ章 博物館資料の総合的研究(辻秀人) 
第Ⅷ章 博物館資料の活用(中山誠二) 
第Ⅸ章 地域文化資源の種類(中野知幸・眞田芳彰)

2012年8月10日金曜日

関西地方 博物館実習Ⅲの実施

8月7日から10日まで関西地方の博物館実習Ⅲを実施いたしました。

今年のコースは京都にて集合後、京都文化博物館などの京都市内の博物館を見学し、その後舞鶴や丹後半島をまわり新神戸で解散するものでした。

一日に4~5館の博物館を見学させていただき、その土地ならではの展示や、保存の工夫など勉強させていただきました。

対応いただいた見学館の皆様に心よりお礼申し上げます。