2016年12月21日水曜日

平成28年度 博物館学特別講義

 平成28年12月17日に、平成28年度後期の博物館学特別講義を行いました。今回は、江戸東京博物館の新田太郎氏をお招きし、同館のリニューアルを中心とした講義を実施していただきました。受講学生は、博物館実習Ⅳ受講生、博物館資料保存論受講生、大学院生を含め約300人が参加しました。

 右:江戸東京博物館 新田太郎氏、左:本学 青木教授
新田氏 講義風景

 今回の特別講義では、江戸東京博物館の詳細の他、普段聞くことのできない博物館のリニューアルの裏側について拝聴することができました。本学の学生は、比較的同館へ訪問することが多いようなので、学生達も身近な話として理解がしやすかったものと思われます。
 本年度の特別講義は、今回で最後となりますが、次年度は4月に大学院、7月と12月に学部の特別講義を計画しております。

2016年10月31日月曜日

国史学会10月例会

 平成28年10月29日の14時より、国史学会10月例会が開催されました。今回は、博物館学研究室が国史学会に入会して最初の例会で、当研究室の博士課程前期2年生の3名が研究発表を行いました。
 研究発表風景
10月例会研究発表題目一覧

 例会は、司会進行を務める当研究室博士課程後期3年の種井丈によって開始され、まず最初に國分梓による「福井県丹生郡越前町八坂神社十一面女神坐像の造像に関する一考察」が発表されました。
 司会進行 種井 丈(博士課程後期3年)
第一発表者 國分 梓(博士課程前期2年)

 続いて、下田夏鈴より「明治末期における坪井正五郎の人類学展示」が、さらに谷拓馬より「郷土教育と郷土博物館-大正・昭和を中心として-」が発表されました。
第二発表者 下田夏鈴(博士課程前期2年) 
第三発表者 谷 拓馬(博士課程前期2年)

 今回の例会は、初めての取り組みではあったものの、20余名の参加者を得て盛会のうちに終了することができました。3名の発表者も、実に堂々と発表しており、普段の研究の成果を公表できる良い機会になったかと思います。
 また、次年度の国史学会10月例会も博物館学の発表を行うことが計画されております。

2016年10月24日月曜日

平成28年度 全国大学博物館学講座協議会 東日本部会大会

平成28年10月22日と23日にかけて、全国大学博物館学講座協議会の東日本部会大会が開催されました。本年度は、神奈川県平塚市の東海大学を会場に実施し、加盟大学及び西日本部会長大学を含めた全69大学のうち42大学から65名の参加をもって開催されました。本学からは、青木豊教授と中島助手が参加しました。
 総会は、東日本部会長大学である桜美林大学の浜田弘明教授が開会の挨拶を行い、続いて委員長大学である東北学院大学の辻秀人教授、開催大学の東海大学 山田清志学長より挨拶があり開会されました。
 桜美林大学 浜田弘明 教授
 東北学院大学 辻秀人 教授
 東海大学 山田清志 学長
司会進行:東海大学 江水是仁氏

 まず、浜田教授より平成27年度事業報告があり、続いて事務局の黒岩友見子氏より収支決算報告を行われました。次に平成28年度の事業計画及び予算案、役員大学改選の審議があり、全会一致で承認されました。その後、平成28年度東日本部会研究助成の選考審議が行われ、日本大学理工学部登川幸生教授が代表を務める「大学付属博物館におけるMLA連携を意図した学芸員養成課程の教育に関する研究」と東京農業大学生物産業学部の宇仁義和准教授が代表を務める「ネットワーク型学芸員の活動アーカイブの作成と価値評価」が採択されました。
 さらに、平成27年度助成の成果報告として、本学中島助手が「学芸員養成上必要とされる基本文献の集成と博物館学史構築に関する研究」を、郡山女子大学短期大学部の桑野聡准教授が「短大の学芸員養成課程と地域博物館の連携のための実践的試み」をそれぞれ報告し、最後に次年度全国大会等の連絡が本部事務局より行われ、総会を終了しました。
 中島 成果発表風景
郡山女子大学短期大学部 桑野聡 准教授 成果発表風景

休憩をはさみ、14時40分より合同部会が開催されました。まず、日本博物館協会の半田昌之専務理事から、本年開催されたICOMミラノ大会と、平成31年に開催されるICOM京都大会への抱負について報告がありました。
 ICOMミラノ大会参加報告
日本博物館協会 半田昌之 専務理事

 その後合同部会が開始されました。今回の合同部会のテーマは、「新しい博物館活動に対応できる人材育成と課題-ジオパーク、エコミュージアムの活動事例から-」に設定され、金目エコミュージアム 米村康信会長、平塚市博物館 澤村泰彦館長、茅ケ崎市文化資料館 須藤格学芸員、日本エコミュージアム研究会 大原一興会長の4名より、神奈川圏でのエコミュージアム運営の現状について報告と意見が述べられました。シンポジウムでは、エコミュージアム・ジオパーク運営に関する人的問題が提起され、その上でどのような学芸員養成が求められるのかについて、積極的な意見が交わされました。
 金目エコミュージアム 米村康信 会長
 平塚市博物館 澤村泰彦 館長
 茅ケ崎市文化資料館 須藤格 学芸員
 日本エコミュージアム研究会 大原一興 会長
シンポジウム風景

 その後の研修会においては、各大学の担当者が個別に情報交換を行い、それぞれが抱える問題点などが話し合われた。
 今回の東日本部会大会では、それまであまり俎上に上ることのなかった自然科学系博物館を含むテーマとし、多角的な方面から事例報告とディスカッションが行われたことに意義があるかと思います。
次年度の東日本部会大会は、東京女子大学にて開催予定です。

2016年10月18日火曜日

于大方氏特別講義

 平成28年10月18日に、博物館学特別講義を開催いたしました。今回は、中華人民共和国西安市の于右任故居紀念館より于大方館長を招聘し、青木豊教授の博物館展示論の科目内で特別講義を実施していただきました。
 本講義は、二部構成となっており、まず西安を含めた中国の博物館の現状と課題について講義を戴いたのち、平成26年より継続して実施している中日博物館学学術交流団の成果についてお話しいただきました。
 特別講義開催教室(120周年記念2号館2202教室)
 右:于大方 館長、左:青木豊教授
于先生 講義風景

2016年10月1日土曜日

平成28年度大学院専門・特殊実習 波佐見町現地実習

 平成28年9月11日から一週間の日程で、平成28年度大学院専門・特殊実習の現地調査を実施しました。本年度は、長崎県東彼杵郡波佐見町を対象とし、同町内の地域文化資源の確認と、町内に所在する「橋の際資料館」の資料整理実習を中心に行いました。
 まず初日の9月11日は、 13:00に長崎空港集合し、15:00に調査を実施する「橋の際資料館」に到着、機材を搬入しました。そして、早速に民具資料の計測と写真撮影等を含む資料台帳作成を行いました。
 資料撮影作業
 資料整理・展示作業
記録・台帳化作業

 翌12日は、まず波佐見町教育委員会へ向かい、教育長にあいさつを行ったのち、教育委員会文化財保護係の山口浩一氏と中野雄二学芸員による講話を開催していただきました。
 右:波佐見町教育委員会 山口氏、左:中野学芸員
講話開催状況

 午後からは、引き続き橋の際資料館での民具整理作業を実施しました。
 9月13日、14日も引き続き作業を行い、夕刻にはほとんどの台帳化作業を完了し、その後資料館の展示作業と環境整備を行いました。
 翌15日は、今後の資料館展示の更新と発展を目的に、波佐見町内の地域文化資源の確認と、波佐見町に隣接し、同様に焼き物を町の主産業とする佐賀県有田町の博物館についての見学実習を行いました。
 波佐見町世界の窯広場
 波佐見町観光交流センター くらわん館
 佐賀県立九州陶磁文化館
 有田町歴史民俗資料館
 香蘭社 有田本店(古陶磁陳列館)
 波佐見町 野々川キリシタン墓地
 鬼木棚田
旧波佐見町立中央小学校講堂兼公会堂

 さらに、現在波佐見町が計画している博物館の外観を特別に観覧させていただきました。
(仮称)波佐見町歴史文化交流館 予定地

 9月16日は、長崎県北部地域の博物館を対象とした見学実習を実施しました。当該見学は、橋の際資料館展示の参考とすること、さらに現在波佐見町が計画している博物館展示の参考とするために、同県域の多様なのコンセプトの博物館を見学し、博物館の収蔵状態の確認や、展示の問題点を把握することを目的としたものです。
 今回は2台の車に分乗し、平戸市~佐世保市にかけての北部地域に点在する人文系博物館と史跡等の見学を実施しました。
 平戸オランダ商館
 松浦史料博物館
平戸市生月町博物館 島の館

 最終日の17日は、大学への機材返送のための梱包・撤収作業を実施しました。その後、教育委員会へ挨拶を行い、お昼頃に長崎空港に到着し、解散となりました。
 本年度は、前回までの長野県木島平村から場所を移して実施した初めての実習で、環境・設備等が慣れない中、学生達も積極的に実習に参加していました。今回行った実習では、主に民具資料の整理作業を実施しましたが、今回の成果は後期の授業内で精査を行い、波佐見町に還元する計画であります。
 

2016年8月29日月曜日

平成28年度 第5回 博物館実習Ⅲ 北海道地方

 平成28年8月16日~19日の3泊4日の日程で、博物館実習Ⅲ(地方見学実習)を催行しました。今回は、北海道地方を見学テーマとし、30名の学生の参加がありました。
 一日目の8月16日は、午前九時にJR札幌駅鐘の広場に集合し、青木教授から諸注意を受けた後、北海道博物館を見学しました。同館では、保存科学担当学芸員の杉山智明氏より、北海道博物館の概要と保存管理の方法についてレクチャーを戴きました。
 北海道博物館
 グループレクチャー風景
北海道博物館 杉山智明 学芸員

 その後、月形樺戸博物館、奈井江町郷土館、雨竜町開拓記念館を見学し、同日は旭川市に宿泊しました。
 月形樺戸博物館 本館
 月形樺戸博物館 旧樺戸集治監本庁舎
 奈井江町郷土館
雨竜町開拓記念館

 翌17日も、上川・空知地域の博物館を中心に見学をしました。同日は、上富良野町開拓記念館、上富良野町郷土館、新十津川町開拓記念館・農業記念館、はまます郷土資料館を見学しました。特に新十津川町開拓記念館では、街に関する概要のお話と収蔵庫を見学させていただきました。
 上富良野町開拓記念館
 上富良野町郷土館
 新十津川町開拓記念館
 新十津川町農業記念館
 新十津川町開拓記念館 解説風景
はまます郷土資料館

 続いて18日は、札幌以西の地域を対象とし、小樽市総合博物館、小樽市手宮洞窟保存館共和町かかし古里館、鰊御殿とまり、ニッカウヰスキー余市蒸留所ウイスキー博物館を見学しました。小樽市総合博物館では、館長の石川直章氏より館のコンセプトや展示の概要などをお話しいただきました。また共和町かかし古里館や鰊御殿とまりでも詳細な博物館解説をしていただきました。
 小樽市総合博物館 本館
 石川館長 解説風景
 小樽市手宮洞窟保存館
 共和町かかし古里館
 かかし古里館 解説風景
 鰊御殿とまり
 鰊御殿とまり 解説風景
 ニッカウヰスキー余市蒸留所
ウイスキー博物館

 最終日は、まず小樽市内の自由見学時間を設け、その中で小樽市総合博物館運河館と旧日本郵船小樽支店の見学を行いました。
 小樽市総合博物館 運河館
旧日本郵船小樽支店

 その後、札幌市内へ移動し、北海道大学総合博物館を見学しました。同館では、湯浅真紀子教授から博物館の概要と北海道大学の博物館への取り組みについて解説を戴き、その後考古学のミュージアムラボ(整理・研究室)を見学しました。その際、ご厚意で考古学の収蔵庫を併せて見学させていただきました。
 北海道大学総合博物館
 北海道大学 湯浅真紀子 教授
ミュージアムラボ(考古学) 見学風景

 北海道大学では、キャンパス内に所在する札幌農学校第二農場を併せて見学し、ミーティングを行ったのち、札幌駅と新千歳空港で解散となりました。
 今回の実習では、台風の接近・上陸とそれに伴う大雨により、一部満足な見学ができなかった場所もあったことが残念でした。また今回は、北海道地域に多い歴史的建造物を利用した博物館を多くコースに盛り込み、大規模館ではわからない地方博物館の現状について把握することを意図しました。本実習を通じて、わが国有数の観光地である北海道とそこに所在する博物館の状況を少しでも感じてもらえたら幸いです。
 本年度の博物館実習Ⅲは、当コースをもって終了となりました。次は、来年2月より平成29年度の実習を行う計画であります。