2015年9月25日金曜日

中華人民共和国諸機関との協議

 平成27年8月31日~9月5日の日程で、本学青木豊教授が中華人民共和国を訪問しました。今回の訪中は、毎年同じ時期に実施している海外インターンシップの学生の引率と、西安・上海の関係諸機関との協議を目的としたものです。
 本年度の海外インターンシップには、大学院の博士課程後期1年生が2名参加し、約一か月の日程で西安于右任故居紀念館にて就労体験を行っております。

 8月31日に出発し、翌9月1日には今回の派遣インターン大学院生を引率同行し、西安于右任故居紀念館においてインターンシップ実施内容などに関する協議を行いました。
 9月2日午前には、西安于右任故居紀念館において協議を継続実施し、午後、青木教授による西安市文物局主催講演会 演題「博物館資料の劣化と保存」を開催しました。
西安市文物局主催講演会での講演風景

 9月3日は西安を出立し、上海へ移動しました。同日は、開館したばかりの上海自然史博物館を見学しました。
 続く9月4日は、上海大学において、上海大学付属博物館建設に関する会議に参加しました。
上海大学付属博物館設立委員会 会議風景

 9月5日は、日中上海市内の新設博物館を視察し、夕刻、上海より東京へ帰国しました。
 
 本研究室では、9月末に上海大学から羅先生を、10月に西安市より于先生を招聘し、特別講演を行っていただく予定です。

2015年9月2日水曜日

博物館学新刊書籍の紹介

 この度、本学青木豊教授と鷹野光行客員教授の共編で、同成社より『地域を活かす遺跡と博物館-遺跡博物館のいま-』が刊行されます。

 同書は、我が国に多数存在する遺跡に関係する博物館=遺跡博物館を題材として取り上げ、その現状と課題を整理し、今後の在り方について展望を行った著作であります。

 同書の執筆に際しては、日本全国の研究者の方々より多大なご協力を戴き、ようやく完成することができました。 この場をお借りして、御礼申し上げます。


 主な目次は以下の通りです。

まえがき
第1章 遺跡博物館の概念
―法制度・保護思想の変遷と風土記の丘―
第2章 日本人が見た海外のSite Museum
第3章 遺跡博物館の出現の背景
第4章 遺跡博物館における覆屋展示
第5章 中国西安における遺跡の保存と博物館
第6章 香港における遺跡博物館
第7章 遺跡の保存整備と遺跡博物館の歴史
I 北海道地域
II 東北地域
III 北関東地域
IV 南関東地域
V 甲信越地域
VI 北陸地域
VII 中京地域
VIII 関西地域
IX 山陰地域
X 山陽地域
XI 四国地域
XII 九州地域
XIII 沖縄地域
第8章 遺跡博物館のこれから
附 表 全国の主要遺跡博物館一覧
あとがき


2015年9月1日火曜日

平成27年度 第5回 博物館実習Ⅲ 東北地方

 平成27年8月25日から28日にかけて、第5回の博物館実習Ⅲ(地方博物館見学実習)を催行しました。今回は、秋田県~岩手県にかけての東北地方の博物館をテーマとし、30名の学生が参加しました。
 初日の25日は、9:00にJR秋田駅に集合、ミーティングを実施したのち秋田県立博物館へ向かいました。同館では、普及・広報班の船木信一班長と鈴木秀一主査より、収蔵庫を含めたバックヤード見学と詳細な解説を戴きました。中でも考古資料・岩石資料をはじめとするいくつかの収蔵庫には実際に入って見学をさせて戴き、日常管理に於いての問題や今後の課題についてもお話しいただきました。
 秋田県立博物館
 左:秋田県立博物館 鈴木秀一 主査
右2番目:秋田県立博物館 船木信一 班長

 同日はその後、大仙市総合民俗資料交流館「くらしの歴史館」、秋田県立農業科学館、横手市雄物川郷土資料館を見学しました。中でも雄物川郷土資料館では、院友の島田祐悦 主査より館の取り組みや現在開催中の特別展に関する展示紹介等を詳細に解説いただきました。
 大仙市総合民俗資料交流館「くらしの歴史館」
 秋田県立農業科学館
 横手市雄物川郷土資料館
中央付近:横手市教育委員会 島田祐悦 主査

 翌26日は、横手市から大館市までちょうど秋田県を南から北へ縦断するルートの博物館を見学しました。同日は、仙北市田沢湖郷土史料館、打当温泉マタギ資料館、北秋田市郷土文化保存伝承館・阿仁異人館、大館郷土博物館を見学し、大館市内に宿泊しました。
 仙北市田沢湖郷土史料館
 打当温泉マタギ資料館
 北秋田市郷土文化保存伝承館
北秋田市阿仁異人館

 中でも大館郷土博物館では、学芸員の嶋影壮憲氏と荒谷由季子氏より、収蔵庫の見学を含めた詳細な案内を戴きました。また、隣接する秋田三鶏記念館も併せて見学を行いました。
 大館郷土博物館
大館郷土博物館 嶋影壮憲 学芸員
秋田三鶏記念館

 27日は、大館市から県境をまたぎ岩手県へと至りました。まず、秋田県大館市の比内町郷土民俗資料館、小坂町の小坂鉱山事務所を見学し、岩手県側では八幡平市博物館、もりおか歴史文化館、もりおか啄木・賢治青春館を見学しました。
 比内町郷土民俗資料館
 小坂鉱山事務所
 八幡平市博物館
 もりおか歴史文化館
もりおか啄木・賢治青春館

 もりおか歴史文化館では、館長の畑中美耶子氏より歓迎の挨拶と館の概要を、また学芸員の熊谷博史氏から展示コンセプトや館の実践する教育活動などより踏み込んだ内容の解説を戴き、なおかつ展示解説も行っていただきました。
 右:もりおか歴史文化館 畑中美耶子 館長、左:同館 熊谷博史 学芸員
熊谷氏解説風景

 最終日の28日は、まず岩手県立博物館を訪問し、主任専門学芸員の齋藤里香氏より収蔵庫を含めたバックヤード見学と解説を戴きました。今回は、人文・自然・考古の収蔵庫を見学させていただいたほか、東日本大震災で被災した資料の修復の現場に関しても同時に見学するとこができました。
 岩手県立博物館
岩手県立博物館 齋藤里香 主任専門学芸員

 その後、もりおか町家物語館、岩手大学ミュージアム、岩手大学農学部附属農業教育資料館を見学し、盛岡駅にて解散となりました。
 もりおか町家物語館
 岩手大学ミュージアム
岩手大学農学部附属農業教育資料館

 今回の博物館見学実習でも、関西地方と同様に近似の分野の博物館を複数見学し、学生自身が比較できるようにしました。特に本コースでは、秋田県立博物館と岩手県立博物館といった県立の総合博物館の比較や、廃校となった学校校舎を利用した大仙市総合民俗資料交流館と大館郷土博物館の比較など、様々な面で考えることが多いコースであったと思います。
 本年度の博物館実習Ⅲは本コースにて終了となります。また次年度の実習Ⅲは、平成28年2月より5つのコースを計画しております。

平成27年度 第4回 博物館実習Ⅲ 関西地方

 大学院実習と日時が前後しますが、8月6日~9日の日程で第4回の博物館実習Ⅲ(地方博物館見学実習)を催行しました。今回の実習は「関西地方」をフィールドとし、3年生を中心に30名の学生が参加しました。
 一日目の8月6日は、9:00にJR京都駅に集合し、ミーティングを行った後最初の見学地である京都国立博物館へ向かいました。同館では、まず館長の佐々木丞平氏より歓迎のお言葉と館の概要説明を戴き、その後同館総務課の北條敦子専門員の案内でバックヤード見学をさせて戴きました。
 京都国立博物館 明治古都館
 京都国立博物館 平成知新館
 京都国立博物館 佐々木丞平 館長
 京都国立博物館 北條敦子 専門員
京都国立博物館 見学風景

 6日はその後、綾部市のグンゼ博物苑・グンゼ記念館、舞鶴市の赤れんが博物館、まいづる智恵蔵・市政記念館を見学しました。中でもまいづる智恵蔵では、改修工事中の舞鶴引揚記念館の資料を一部展示し、仮設博物館として機能していたことが印象的でした。
 グンゼ博物苑 ファッション蔵、新機能蔵
 グンゼ記念館
 舞鶴市赤れんが博物館
舞鶴赤れんがパーク 赤れんが工房・まいづる智恵蔵・市政記念館(手前より)

 6日は福井県の小浜市に宿泊したので、翌7日は同士に所在する福井県立若狭歴史博物館をまず訪問しました。同館では、垣東敏博副館長から館の概要と取り組みについてお話を伺った後、鯵本眞友美文化財調査員より展示室の詳細な解説を戴きました。
 福井県立若狭歴史博物館
 左:福井県立若狭歴史博物館 垣東敏博 副館長
福井県立若狭歴史博物館 鯵本眞友美 文化財調査員
展示室解説風景

 同館の見学後は、福井県から兵庫県にかけて日本海側を移動し、福井県の高浜町郷土資料館、兵庫県豊岡市の日本・モンゴル民族博物館、出石明治館、いずし古代学習館の4館を見学しました。
 高浜町郷土資料館
 日本・モンゴル民族博物館
 出石明治館
いずし古代学習館

 8日は、当初の予定を変更し、一館目として豊岡市の豊岡市立歴史博物館-但馬国府・国分寺館-を見学しました。同館は、本年4月より名称を新たにリニューアルオープンした博物館で、学芸員の前岡孝彰氏と文化財調査員で院友の西谷昭彦氏より、館の仕事やリニューアルについてお話を戴きました。
 豊岡市立歴史博物館-但馬国府・国分寺館-
前岡氏解説風景

 その後、朝来市埋蔵文化財センター古代あさご館を訪問し、田畑 基館長より収蔵庫を含めたバックヤード見学と詳細な館の解説を戴きました。同館は、展示施設を持つ埋蔵文化財センターであり、道の駅に併設されるという点が非常に特徴的でした。
 朝来市埋蔵文化財センター古代あさご館
 朝来市埋蔵文化財センター 田畑 基  館長
解説風景

 同日は、豊岡市より神戸市に向けて南下をし、その間に所在する丹波市の丹波市春日歴史民俗資料館・郷土資料館、および神戸市の神戸深江生活文化史料館と竹中大工道具館を見学し、大阪市に宿泊しました。
 中でも神戸深江生活文化史料館は、当該地域の「財産区」と呼ばれる組織が主体となって設置・運営を行っている特殊な館で、歴史的背景を含めた詳細な館のお話を館長の大国正美氏より伺いました。
 丹波市春日歴史民俗資料館・郷土資料館
 神戸深江生活文化史料館
中央:神戸深江生活文化史料館 大国正美 館長
竹中大工道具館

 最終日の9日は、宿泊地の大阪市から兵庫県の尼崎市へ向かい、まず尼崎市立文化財収蔵庫を訪問しました。同館では、学芸員の桃谷和則氏より館の概要と展示等に関する詳細な説明を戴きました。また同館は、非常に博物館学意識の高い人々が運営を行っていると看取され、郷土博物館として一つの模範となる施設であったと思います。
 尼崎市立文化財収蔵庫
 左:尼崎市立文化財収蔵庫 桃谷和則 学芸員
解説風景

 その後、近接する尼崎信用金庫の尼信会館と記念館、世界の貯金箱博物館を見学しました。
 尼信会館
 尼信記念館
世界の貯金箱博物館

 本実習の最後は、大阪府吹田市の吹田市立博物館を訪問し、学芸員の五月女賢司氏よりバックヤード見学や館の取り組みに関する詳細なご指導を戴きました。
 吹田市立博物館
 吹田市立博物館 五月女賢司 学芸員
バックヤード見学風景

今回の実習では、人文系を主体に考古・歴史・民俗・産業・美術などの様々な分野の博物館を見学することができました。特に今回は、同一分野に属する博物館を2館ずつ見学するようにコースを設定し、学生自身が博物館の良し悪しを比較しながら考えられるようにしました。この実習を通して、少しでも将来の職として学芸員を考えてもらえればと思います。
 次回は8月25日~28日にかけて、東北地方の博物館を見学します。