2014年12月22日月曜日

平成26年度後期 博物館学特別講義

 平成26年12月20日に平成26年度後期の特別講義を開催いたしました。今回の講義は、京都に所在しております「株式会社 大入」より講師をお招きし、「京都経師による和本の解説と実習」をテーマとして開催しました。
 
講義風景
 本講義は、川崎市に所在する「誠堂」の松林氏がコーディネーターとなって実現したもので、まず本学青木教授より講演者の紹介がありました。
 講演者紹介
左:(株)大入 谷口良 課長、中央:同 大入祥平氏、右:誠堂 松林宏治 氏
 今回の特別講義は、博物館実習Ⅳの補講という意味合いを含めまして、まず和本に関する講義を大入氏よりいただき、その後で実際に和本の装丁体験を谷口課長よりご指導いただくという2部構成をとりました。
 まず第一部として、(株)大入 業務課の大入祥平氏より和本の歴史とその構造についての講義を戴きました。
大入氏による和本に関する講義風景
 途中で一度休憩を取り、14時30分頃より(株)大入の谷口良課長より、和本製作に関する実習指導を戴きました。実習では、受講学生を10人ずつの班に分け、まず谷口課長から実演を戴いた後、実際に体験を行うという方針を取りました。
 谷口課長による解説風景
 谷口課長による実演
 学生実習風景(折り)
 学生実習風景(紙縒り作り)
 学生実習風景(穴あけ)
 学生実習風景(裁ち)
学生実習風景(表紙付け)
 今回の特別講義では、博物館実習Ⅳ・博物館資料保存論の受講学生、博物館学コースの大学院生を中心に凡そ100名の学生が受講したため、時間内に和本を完成することはできませんでした。しかし、普段できない経験を体感できたということは、学生たちにとっても非常に刺激になったと思われます。
 次回は、来年7月頃に特別講義を開催する予定です。内容は未定ですが、積極的な参加を期待したいと思います。

2014年12月9日火曜日

12月3日活動報告

 更新が遅くなりましたが、12月3日の活動報告をいたします。
 12月3日(水)は、秋の大学院進学相談会と博物館実習Ⅲの説明会を開催いたしました。
 大学院進学相談会は、春季入試の受験者と次年度大学院へ進学を希望する学生を中心に、約10名が集まりました。
進学相談風景 

 博物館実習Ⅲの説明会は、来年春と夏に催行する見学実習のコースを決定するための説明会です。本年は、科目等履修生を含め170人強の学生が履修する予定です。
博物館実習Ⅲ説明会

2014年11月24日月曜日

第2回 博物館関係院友集いの会

 平成26年11月22日に、本研究室が主体となり「第2回博物館関係院友集いの会」を開催いたしました。
 同会は、國學院大學を卒業・修了した院友の中で、博物館や文化財関係の職に就いている方々をお招きし、幅広い年代との交流と情報交換を目的に開催されたものです。
 第1回は平成19年(2007)に開催され、今回は実に7年ぶりの開催となりました。前回から参加の方、今回から参加の方など、講演会・懇親会を合わせて80名の参加をいただきました。
講演会 受付風景

 本回は、講演会と懇親会の2部構成となっており、13:30分より講演会を開始しました。まず、本学青木豊教授より開会の挨拶を戴きました。
講演会風景
青木教授 挨拶
司会:左、杉山正司氏(埼玉県立歴史と民俗の博物館 副館長)
    右、下湯直樹氏(千代田区立日比谷図書文化館 学芸員)

挨拶後、講演会が始まりました。第一演者として、文化庁美術学芸課の原田昌幸先生より、「大英博物館土偶展-裏方の記-」を講演いただきました。本講演では、平成21年に大英博物館で実施した土偶展について、準備から現地での展示、随伴業務、日本国内での回帰展に至る業務について、写真を交えながらわかりやすく講演していただきました。
原田先生 講演風景

第2演者として、花園大学の芳井敬郎教授より、「学芸員視点の民俗展示と物質文化研究」について講演をいただきました。芳井教授からは、博物館における民俗展示の扱いおよび在り方について、研究史を交えながらご講演いただきました。
芳井先生 講演風景

 講演会は、写真撮影を行い16:00に終了しました。

 その後、17:00より懇親会を若木タワー18階有栖川宮記念ホールで開催しました。開会に先立ち、下津谷達男氏、椎名仙卓氏、岩野見司氏、森 醇一郎氏からそれぞれご挨拶を戴きました。
 懇親会風景
 下津谷氏 挨拶
 椎名氏 挨拶
 岩野氏 挨拶
森氏 挨拶
会の中盤では、法政大学の金山喜昭教授をはじめ、様々な方にご挨拶を戴きました。
金山氏 挨拶
懇親会は、全員での集合写真を撮影し、19:00に閉会いたしました。

 今回の博物館関係院友集いの会は、開催の目的である多くの世代との交流と情報交換という役割を十分に果たせた会であったと思います。様々な方からの意見を踏まえ、定期的にとは言えずとも5年以内に一度は開催したいと考えております。
 特に、3年後には本学博物館学講座が開講して60年の節目を迎えます。これに合わせ、第3回を開催しては、との意見が多くございました。次回の開催におきましては、今回参加された方は勿論、今回参加できなかった方も積極的に参加していただけると幸いであります。

2014年10月28日火曜日

李海蓮氏特別授業

 平成26年10月28日に、大韓民国釜山市立博物館の李海蓮氏による特別講義を開催しました。
 今回の特別講義は、大学院GP後継事業に伴う海外からの研究者招聘制度を利用したもので、10月27日~31日の日程で李氏を招聘しております。
 本日は、青木豊教授の「博物館展示論」の講義枠に於いて、「博物館展示論-釜山市立博物館を中心として-」という題目で講義を実施しました。
 講義風景
 右:釜山市立博物館 李海蓮氏、左:本学修了生 金さん(通訳)
質疑応答風景

 講義では、学生が一般に学んでいる展示論だけではなく、実際の博物館での常設展示・特別展覧会についてもお話を戴き、学生たちも熱心に講義を聞いておりました。
 本招聘制度では、昨年に引き続き海外から講師の先生をお招きいたしました。講師の先生からは、普段聞くことのできない様々なお話を聞くことができる良いチャンスであります。来年度以降も積極的な交流がなされることを期待したいと思います。


2014年10月20日月曜日

平成26年全国大学博物館学協議会 東日本部会

 平成26年10月17日に、平成26年全国大学博物館学協議会の東日本部会が女子美術大学で開催されました。今回は、東日本部会加盟校の内、39大学より76名の参加がありました。
 同日は、13:30より総会を開始しました。まず、開催校である女子美術大学の稲木吉一教授より日程説明等があった後、東日本部会長の桜美林大学浜田弘明教授、全博協委員長校の辻秀人教授および女子美術大学横山勝樹学長より挨拶があり、議事に入りました。
 
 女子美術大学 稲木吉一教授
桜美林大学 浜田弘明教授

  総会は、議長として次年度開催校である東北学院大学より加藤幸治准教授が選出され、議事に入りました。総会では、平成25年度の事業報告と決算報告、平成26年度の予算案等が提示され、全会一致で可決されました。また、平成25年度研究助成の結果報告として、玉川大学から「美術教育における美術館と中学校」が報告され、14:40に総会は終了しました。
総会状況

 14:50からは合同部会が開催され、「博物館教育の現状と課題」について3名から基調報告が行われました。まず、国立西洋美術館の寺島洋子氏から「利用者主体の美術館を目指して」という題で、西洋美術館における教育活動のあり方について報告がありました。
国立西洋美術館 寺島洋子氏 報告風景

 続いて、世田谷美術館の塚田美紀氏より、「学生は美術館教育の「現場」でどう学びうるか?」と題する講演がなされました。本講演では、世田谷美術館が実施しているインターンシップ実習制度の紹介が行われ、学芸員養成についての提言がなされました。
世田谷美術館 塚田美紀氏 報告風景

 3人目として、神奈川県立生命の星・地球博物館の広谷浩子氏より、「サルヒト講座・ワタソセ講座から出張授業へ」と題した報告がありました。本報告では、同博物館が実践する講座が如何に出張授業に生かされているかが示され、また実際に使用している授業用キットを見学することで、より具体性のある報告が行なわれました。
授業用キット 見学風景

 小休憩をはさみ、討議が行われました。討議では、女子美術大学稲木教授が司会をし、報告者3名と博物館教育のあり方についての見当がなされました。
討議風景

 同日は、その後研修会を実施し、1日目を終えました。
 翌18日には、国立西洋美術館において見学研修会が開催されました。
 
 東日本部会では、昨年度の「学芸員養成課程の諸問題」に続き、博物館・学芸員養成に関する情報交換が積極的に行われています。次年度開催の東北学院大学に於いても、活発な議論が期待されます。

2014年9月25日木曜日

BSフジ「ガリレオX」撮影

 本日、BSフジ「ガリレオX」の撮影があり、青木教授が出演されました。
 今回のテーマとして博物館を取り上げるということで、青木教授へ博物館についてのインタビューが行われました。
 放映予定日は平成26年10月26日で、BSフジにて放映されます。

2014年9月23日火曜日

平成26年度大学院専門実習 木島平村現地実習

 投稿が前後しますが、平成26年7月25日から31日の7日間の日程で、大学院専門実習を実施しました。実習地は、長野県下高井郡木島平村で、本年で5回目の実施となりました。本年は、教員3名と、博物館学専攻の大学院生7名、複専修の学生3名が参加しました。
 7月25日は、14:00に長野駅集合、16:00に宿泊施設である木島平村農村交流館に到着し、その後民具資料を収蔵している大町倉庫へ機材搬入を実施しました。夕食後には、翌日からの実習についてのミーティングを行いました。
 木島平村農村交流館
木島平村農村交流館 挨拶

7月26日は、8:30から作業開始しました。事前に大町倉庫内に大型収蔵棚が設置されていたため、民具資料を移動、分類配架を実施しました。また、27・28日にふるさと資料館でのワークショップを計画していたので、担当班はワークショップの準備・会場設営を行いました。
 大町倉庫 展示替え前
展示替え風景
ワークショップのための実験風景

 同日は、夕刻より木島平村 芳川村長とふるさと資料館 樋口館長による講話を開催しました。芳川村長からは、村の現状と今後望まれる姿について、樋口館長からは昨年開館したふるさと資料館についての講義を戴きました。
 左:木島平村 芳川村長
右:ふるさと資料館 樋口館長

 7月27日には、9:00より木島平村農村交流館でワークショップを開催しました。このワークショップは、昨年から続くイベントで、計画・準備・指導に至るまでのすべてを大学院生が自ら行うものです。本年は、模造弥生土器での米炊き体験と、勾玉づくりのワークショップを開催しました。
 米炊き体験は、木島平村の特産である米を、木島平村の著名な遺跡である根塚遺跡から出土した土器の模造で炊いて食べることを目的に計画しました。
 受付風景
 土器焼成実験
古代米の炊き上がり
昼食風景

勾玉づくり体験は、昨年度と同様に根塚遺跡出土の「く」の字勾玉を作ることを意図しました。まず、大学院生による講義を行い、その後各自製作を始めました。また、今回の体験には、本学広報課より取材があったほか、木島平村のローカル局よりTV取材がありました。
 勾玉講義風景
 製作体験風景

7月28日は、8:30から作業を開始し、大町倉庫での分類配架、ワークショップの準備・会場設営を継続しました。本年は、ワークショップを2日間開催し、同日は20時よりふるさと資料館でのナイトミュージアムを開催しました。本ワークショップは、夜の博物館を見学することで驚きと発見を創出するほか、夜間という時間帯を利用して古代~現代までの灯火具の実演・解説展示を行うことを意図しました。
 ナイトミュージアム風景
野外での灯火実験

 7月29日は8:30から作業を開始し、大町倉庫での分類配架を継続する。作業中に木島平村浦山副村長・樋口館長の訪問を受け、収蔵資料に関する説明や展示方針について指導を戴きました。また、倉庫を訪問された地元の方より、民具の名称や使用方法についてのレクチャーを戴きました。
 左:浦山副村長
 樋口館長による展示指導
民具の名称についてのレクチャー風景

 7月30日には、ふるさと資料館の展示改良を行う参考とするために、上越地域の博物館調査を実施しました。木島平村からは、根塚遺跡出土勾玉をはじめとして数点のヒスイ製品が遺存することから、その産地である糸魚川周辺域を調査し、周辺博物館での展示活用状況をふるさと資料館での展示の参考とすることを目的としたものです。
 午前中には、天然記念物であり、世界ジオパークに指定されている糸魚川周辺のヒスイ硬玉産地を見学しました。
糸魚川ヒスイ硬玉産地

午後より、糸魚川市に所在する「フォッサマグナミュージアム」と「長者ヶ原遺跡・長者ヶ原考古館」を見学しました。
 フォッサマグナミュージアム
 長者ヶ原考古館
長者ヶ原遺跡 復元住居

 最終日の7月31日は、8:00より宿舎の清掃作業を行い、12:00に長野駅に到着し、解散となりました。本年の実習により、大町倉庫の収蔵展示が暫定的ながら完了し、一般公開に向けて動き始めております。
大町倉庫 展示替え終了後

今回の実習では、土器による米炊き体験とナイトミュージアムという新たな試みを行いましたが、成功裏に終わることができました。大学院生たちも、ワークショップの企画、運営を実践することができ、今後博物館等で勤務する際の良い経験となったと思います。